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記事紹介:ジェリー&シルビア・アンダーソンに刺激された人形劇を都市封鎖下で製作・撮影

『ネビュラ75』が公開された直後に公開された英文記事の非公式日本語訳になります。

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ジェリー&シルビア・アンダーソンに刺激された人形劇を都市封鎖下で製作・撮影

映画製作者達は、自己隔離に邪魔されないだろうと判断し『サンダーバード』スタイルのSF番組の短編を製作した。そしてSNS上での反応が良かったため、さらに製作することにした。

マーク・ブラクストン 2020年4月27日 月曜日 17時43分

イギリスの都市封鎖は、様々な新しいテレビ番組もしくは既存のテレビ番組の製作者を苦境に追いやっている。しかし逆境の時にあっても、番組製作は別の道を探れるだろう。センチュリー21フィルムズ社、応答せよ……!

俳優と多くの製作陣が関わる従来のドラマ製作が、関係者の移動によって不可能になったことに対して、スーパーマリオネーションのヒーローの人形達はお互いに新型コロナウイルスを感染させる危険性もない。

こうして「スーパーアイソレーション(超隔離)」の巧みな語の下、『ネビュラ75』という短編ドラマを1960年代の『宇宙船XL-5』、『スティングレイ』や『サンダーバード』などの手法を用いながらも、全く新しいものに仕上げた。

〈ロボットのサーキットの写真〉
ネビュラ75号のロボット・サーキット。宇宙船XL-5号の副操縦士ロバートにとても似ている。

センチュリー21フィルムズ社のメンバーは世界中に住んでいるにも関わらず、プリ・プロダクション(製作前)そしてポスト・プロダクション(製作後)の作業に遠隔で貢献することができた。そして『ネビュラ75』の撮影は全てロンドンの小さなアパートで、すでに同居している三人によって行われた。その三人とは、監督のスティーブン・ラリビエー、人形師兼ポスト・プロダクション監督のエリオット・パヴェリン、そして美術部門長のジェラルディン・ドナルドソンである。

イギリスが長年得意にしてきた創意工夫の結果、彼らの生活空間は撮影スタジオとなり、本棚や段ボール箱、その他の家具はこの番組の名前を冠した宇宙船の内部となった!

このアパートには以前の作品の人形や小道具がすでに大量に蓄積されていた。そして、第一話の最後についていた舞台裏映像で、ネビュラ75号の模型はプレストン〔イングランド北西部の都市〕で製作され、ロンドンへ送られてきたことがわかった。

ティーブン・ラリビエー監督は次のように説明する。「私たちは近年、様々なスーパーマリオネーション作品を作ってきました。そこには2015年の『サンダーバード』の新作三本〔サンダーバード55/GoGo〕や、去年の『刑事モース』でのゲスト出演〔第6期第2話「月の裏庭」〕も含まれます。私たちは新しいオリジナルのスーパーマリオネーション作品を作りたいと何年も考えてきました。そしてその目標に向かって様々な作業を行っていましたが、都市封鎖によって目標の一部は変わってしまいました」。

しかし彼はこうも言っています。「ふさぎ込んで座っているよりも、新しいものを狭いリビングで作ろうと決めました。私たちの利用可能な限られた空間、セット、予算の中で作れるかどうかやってみました。その結果が『ネビュラ75』でした」。

『ネビュラ75』のテーマは、現在の制限下と同じである。ヒーローのネプチューン船長自身も「隔離」状態にある。つまり遠宇宙を航行する宇宙船の中にいるということだ。

〈人形を調整する写真〉
人形師兼ポスト・プロダクション監督のエリオット・パヴェリンとネプチューン船長の人形。

以前の撮影は、完全なスタジオで行われ、彼らはそこで180cmもの高さのブリッジから人形操演を行った。エリオット・パヴェリンはこう話す。「私たちのアパートの天井高でそういうことはできません。その代わりに、床に立ち、セットの壁から身を乗り出して操演しました。人形達を適切な場所に立たせて操演を行い、なおかつ家具や機材に躓かないようにする、これらを狭いリビングで行うというのはとても難しいことだったのです!」。

第一話(下で鑑賞可能〔現在は公開終了〕)は土曜日にFacebookYouTubeで公開された。すぐに反応があったということは都市封鎖下でもヒットさせたということだ。あるファンは「ブラボー!」と言い、またあるファンは「輝かしい #スーパーマリオネーション の続編だ」と言った。ある熱狂的なファンは『ネビュラ75 アニュアル』のページの再現を1960年代の児童書のスタイルで作成した。

YouTube埋め込み〉

賞賛の声が殺到したのはスティーブンにとって衝撃的だったと言っても差し支えないだろう。「私たちは直面する限界というものをとても意識していて、公開しないことも真剣に考えていました。けれども、ひとつひとつの作業が順調に進んでいくうちに「ああ、そんなに悪くないな、とにかく公開してみよう」と思いました。なのでこの反応は全く予期せぬものでした。さらなるスーパーマリオネーション作品を観たいと思っていない人がいるということも十分承知しています!」

こうした評価はスタッフに番組を続けようという気持ちにさせた。実際、彼らは今週にも第二話の撮影を始めたいとのことだ。「第一話の撮影には四日かかりました。第二話はもう少し複雑になります。けれども、私たちは数週間以内には形にしたいと思います。同時に第三話も撮影します」。

ジェラルディン・ドナルドソンもこう加える。「私たちはさらなる話のアイディアを持っています。私たちの想像力は無限大です、リビングの広さが同じように無限大でないにしても!」。

〈操演中の写真〉
ティーブン・ラリビエーが『ネビュラ75』に必要なアパートで行われる人形操演を実演している。彼は製作者のアンドリュー・T・スミスと第一話の脚本を書いた。

厳しい予算で製作された『ネビュラ75』のスタイルとテーマは1960年代に有名になったジェリー&シルビア・アンダーソン夫妻が製作した人形劇と似ている。つまり古風なヒーローが、時間との戦いのアクションやユーモアの空間にいるとういことだ。

これらとともに別報も入ってきた。5月7日からブリットボックス〔BBCITVの動画配信サービス〕が『サンダーバード』、『キャプテン・スカーレット』、『スティングレイ』のシリーズの話を追加することを発表した。またセンチュリー21フィルムズ社は年配のそして次世代の人形劇ファンに向けた新商品を発売することを発表した。興奮の新時代の幕開けだ。