Anderson Japanese Information 別館

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『ネビュラ75』関連映像の日本語字幕版作成を終えて

予告篇、短編、そして舞台裏映像の日本語字幕版が遂に全て公開できました。

これらの映像はCentury 21 Filmsの公式YouTubeなどで公開されていましたが、全て字幕類はついていないもので、特に日本人にとっては取っつきにくい部分があったかと思います。今回のこの日本語字幕版の公開によって、そういった意識を払拭するとともにコロナ禍の「スーパーアイソレーション」作品の製作風景を知っていただけたら幸いです。

この記事では僭越ながら字幕版作成の舞台裏を少しご紹介したいと思います。この音楽を流しながらお楽しみください。

  1. 聞き取り
    すべての作業は英語を聞き取る作業から始まりました。聞きながら翻訳文を作ることは不可能ではないですが、じっくり考えたり確実にするためにスクリプトを書きました(この際、自力で聞き取れない箇所を5300万キロ彼方からご教示いただきました)。

  2. 翻訳
    聞き取りが終わったら日本語への翻訳作業です。ここでは全文をなるべく簡潔に訳していきます。というのも、日本語字幕の長さと字数のルール(1秒4字以内)は非常にきつく、泣く泣く削ってしまう文が必ず生じてしまうため、字数が少なくなるように訳していきます。

  3. 動画ファイルの作成
    翻訳した内容を動画に埋め込んでいきます。今回はDavinci Resolveを主に使いました。ここでようやく台詞の長さを測れるため、上記のルールに合うように適宜内容を変えていきます。

  4. テロップの翻訳
    通常の映画やドキュメンタリーなどでテロップ類は台詞と同じ丸ゴシック体で下に表示しますが、今回はあえて映像中と似たようなフォントで似たような位置に表示しました。下のような場面で台詞と簡単に区別がつくと思うのですがいかがでしょうか。 またアニメーションも可能な範囲で再現しました(Resolveいじったことある方なら座標のキーフレームが設定されているのがわかるかと思います)。 サーキット・ブレイク」のフォントは、最初は既成のフリーフォントを探していたのですが雰囲気の合うものがなかったため、既製のものを参考にして一から書きました。

  5. その他文字情報の翻訳 その他画面内に写り込んでいる文字の翻訳も行いました。こちらはFusionのPlanar Trackerを使って、位置を追従させています。下の例(『ネビュラ75』第2期 制作風景映像)では書き終わるところから映像が始まっているのを反映するために、日本語も最後の「な」に書くアニメーションを追加したことや下線を文字の下の追加したことで、ノードの数が今回の一連の映像の中では最大となっています。

  6. 動画ファイルの書き出し 一通り終わると編集ファイルを動画ファイルとして書き出します。書き出し終わるまで数分待ち、それが終わると目を皿のようにして映像全体に不備がないかを確かめます。翻訳に間違えがないか、字幕が出てくるタイミングがおかしくないか、アニメーションがずれていないか、書き出し時に変なノイズが入っていないか。一つでもミスがあると修正に戻ります。
    こうした一連の作業を通すことによって、何もしていないときにでも頭の中でナレーションが反芻されていました。

  7. 完成・公開 これらの作業が終わると完成です。5300万キロ先に送付し、その後YouTubeにアップロードし公開となります。

以上の作業を19本、時間にして43分分行いました。

『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』(2021)がスターチャンネルさんで放送されたときは、番組の最後にスタッフや俳優のインタビューが放映されたので、『ネビュラ75』もそうなるかなと思いましたが全く放映されませんでした。

www.blackmagicdesign.com

※リンク先はベータ版が公開されているだけにも関わらず18になっていますが、今回使用したものは17です。